昨晩、大阪南港を出航してから8時間。航海も順調に終わり、翌朝午前6時、定刻どおり愛媛県、東予港に入港。昨日と比べると少し雲が多いが、天候は問題なさそうだ。最新のフェリーの乗り心地もとても良い。外海よりも波が穏やかな瀬戸内海を航行していたとはいえ、ほとんど揺れを感じない。おかげでゆっくり休むことができた。
無事に四国に上陸。最初の目的地は今治(いまばり)。高級タオルの生産で有名な街だ。しまなみ海道の四国側の玄関口でもある。ここ東予港から30kmちょっと。ナビを頼りに出発する。
東予港を出発してから1時間くらいで今治の市街地に入った。が、ここである事に気付いた。ナビの指示どおりにしまなみ海道に向かうと、自動車専用道の入り口に入ってしまう。しかも、島を渡る橋のかなり手前から乗るように指示している。とりあえず指示どおり自動車専用道の入り口まで来たが、自転車専用道の入り口が見つからない!
バイクを路肩に止めて地図を確認する。最近のツーリングではナビに頼りっきりになっていたので、地図でルート確認するのも久しぶりだ。だが・・・
うーん、よくわからん。
地図とにらめっこしていると、サイクリストの自転車が何台も脇を通り抜けていく。そうだ! 自転車の後をついていけば自転車専用道が見つかるかもしれない!
と思ったが、バイクとスピードが全然違う。かといって、速度を落として自転車の後を付けていったら不審者だ。
さて、どうしたものか・・・
とりあえず、橋の先端まで行けば見つかるだろう。と考え進んだが、橋の真下に出てしまった。
デカい!
思わぬところで絶景ポイントにたどり着いた。
来島(くるしま)海峡大橋。しまなみ海道、四国側の最初の橋で、最長の橋でもある。全長は4.095m。しまなみ海道で渡れる一番小さい有人島、馬島(うましま)と人口9.000名ちかい大きな島、大島(おおしま)をつないでいる。
今治側から入ると、右側が原付専用道、左側が歩行者・自転車専用道になっている。ループ状になっている道を上ると、それぞれ本線の左右に合流できるようになっている。
橋の上から見る瀬戸内海の絶景!
高所恐怖症の人は渡れないだろうな・・・
原付専用道は対面通行になっている。原付バイク2台がギリギリすれ違える幅しかない。対向車が来たときはスピードを落として徐行する。荷物を満載したツーリングライダーもいたが、地元の人みたいな軽装の人が圧倒的に多い。車で橋を渡ると一回¥500以上するが、原付バイクなら¥50で渡れる。地元の人の生活に根付いた橋になっている。
橋の中央あたりまで来ると、前方に料金所の案内が見えてきた。スピードを落として料金所に近づくと、料金所のすぐ手前に四角い入口の空間がある。止まって中を覗いたら、なんと! エレベーターがある!
このエレベーターの真下にある島、馬島に上陸するための歩行者・自転車・原付バイク専用のエレベーターになっていた。
しまなみ海道につながっている島で、一番、四国に近い島であり、人が住んでいる一番小さな島、馬島。人口が30人くらいのこの島、船以外では必ずこのエレベーターを使わなければ上陸できないそうだ。つまり、車や普通のバイクでは島に降りられないのだ。地元の人も観光客も、徒歩、自転車、原付バイクを使うか、このエレベーターの本線側にあるバス停に停まるバスを使わなければ島に上陸できないのだ。
こんな珍しい島があるのか・・・
エレベーターのすぐ先は料金所になっている。このエレベーターで馬島に降りるなら¥100、この先の大島まで行くなら¥200だ。無人の料金所には賽銭箱のような料金箱が置いてある。今回は馬島に上陸せずに、¥200を入れてそのまま進んだ。
しまなみ海道に入って最初の島、大島に上陸。しまなみ海道の中でも1,2位を争う大きな島で、戦国時代は村上水軍の本拠地があった島だ。島に入って最初の道の駅で休憩。この島は展望台が何カ所かあるので、そこを周る。
橋の3分の2くらいを渡ったところで、左側に小さな看板を見つけた。スピードを出して走っていたら見逃してしまうほどの小さな看板だ。
「見近島」
やった! ようやくたどり着いた!!!
実はここが、今回のツーリングの最大の目的、キャンプ場がある無人島なのだ。
見近島(みちかじま)。
しまなみ海道・今治側の大島、伯方島の間にある小さな無人島。島の中心にしまなみ海道の橋を支える橋脚があり、その周りが無料のキャンプ場になっている。この島も先ほどの馬島のように、歩行者、自転車、原付バイク用の側道からでしか上陸できない。船が接岸できる港も無いので、車や普通のバイクでの上陸は不可能だ。これが、この島が原付ライダーの聖地と呼ばれている理由だ。
側道から島の入り口に入る。ループ状の道をぐるぐる回りながら降りていくと、島の西側にあるキャンプ場に着いた。
ゴールデンウィーク終盤なのにけっこう人がいる。テントも10張以上ある。自転車でキャンプしている強者もいるが、ほとんどが原付バイク。しかも半分以上がスーパーカブ。正にカブの聖地だ。
荷物を下ろして、テントを設営してから、島を探索する。無人島とは言っても、メインの道路は舗装してあり、水やトイレもある。島の真上に大きな橋もあるので、イメージしていた無人島とはぜんぜん違った。橋の橋脚の下がトンネルになっており、キャンプ場の反対側にも行ける。トイレやベンチがある小さな公園になっているが、こちら側はキャンプ禁止となっていた。小さい島なので数分で島を一周することができた。