スーパーカブで行く! 四国・しまなみ海道ツーリング(完結編)

愛媛県今治市、しまなみ海道にある無人島、「見近島キャンプ場」でツーリング3日目の朝を迎える。昨晩は夜半から雨がパラパラ降ってきて、テントに避難してそのまま寝てしまったのだが、翌朝は快晴。テントもバイクも濡れた形跡がないので、どうやら通り雨だったみたいだ。今日がしまなみ海道に滞在できる最終日だが、大阪行きのフェリーが出航するのは夜10時。今日も丸一日ツーリングを楽しむことができる。

 

天気は良いが、海から吹く風は強く、まだ少し肌寒い。テントの前室でお湯を沸かして簡単な朝食を取る。前室が広いデイトナテント・ステイシーST-2だからこそできる事だ。焚き火のような大きな炎を使うことはできないが、換気をしっかりしていれば、ストーブの小さな火で調理することが可能だ。

 

キャンプ場が島の西側にあるので、陽が出てもキャンプ場はしばらく橋の影になっていたのだが、橋の上から朝日が覗いてキャンプ場を照らすと一気に気温が上がって暖かくなった。

 

ここは無料のキャンプ場なので、チェックアウトの時間を気にする事なく、のんびりとテントを撤収する。帰りのフェリーの出航時間を計算すると、遅くても夜8時までにはしまなみ海道を出て今治市街に戻ればいい。今日の予定はしまなみ海道を制覇して、広島県尾道市まで行って戻ってくる予定だ。最初の計画では広島に入って、世界遺産の厳島神社まで行こうと思っていたのだが、とてもじゃないが無理だと気づいた。今回は欲張らずに、次回の楽しみに取っておこう。

 

テントの撤収も完了。荷物をバイクにくくりつけて、キャンプ場を出発。昨日渡った伯方島を通って、大三島に入り、今日の最初の目的地に向かう。大三島の中心にある大山祇神社のすぐ向かいにある食堂「大漁」だ。海鮮丼や魚料理をリーズナブルな価格で食べられる地元の人気店で、観光客にも人気の店だ。

 

じつはこの店、昨日の昼に来たのだが、すごい行列が出来ていて入れなかったのだ。午後1時過ぎでも20人くらいが店の前に並んでいた。店の前には予約ノートが置いてあり、午前11時に店はオープンするのだが、午前9時半からこのノートで予約を受け付けると書いてあった。

 

という事で翌日、再びこの店を訪れた。時間は午前10時前。ちょっと遅れてしまったので予約がどれだけ入っているか心配だったが、5番目に予約を取ることができた。だが、まだ開店まで1時間ある。近くにある入浴施設「マーレ・グラッシア大三島」に向かう。

 

 

ここは温泉ではないが、海水を温めた浴槽がある、珍しい施設だ。海が見える露天風呂もあり、十分にリラックスできた。

 

のんびりと時間を過ごして、開店10分くらい前に食堂に戻ってくると・・・

 

!!!

 

メチャメチャ人がいる!

 

1時間前は一人も居なかったのに、今は20人以上は居る。しかも、開店が近づくにつれて、どんどん人が増えていく・・・

 

予約ノートの名前、消されていないだろうか・・・

 

と心配して待っていたが、開店したらちゃんと5番目に呼ばれて、無事に店に入ることができた。

 

ここは、メインのどんぶり物をオーダーして、店に並んでいる小皿の魚料理を自由に取るシステムになっている。メインのどんぶりは一番人気の「全部のせ丼」。そしてなかなか目にすることのない珍しい「鯛のカマの唐揚げ」と「ハマチの南蛮漬け」を選んだ。

 

この大三島は古来から「神の島」と呼ばれ、漁が禁止されていた時代もあったそうだが、今は新鮮な魚介類が豊富に取れる島となっている。お世辞抜きでも、今まで食べた海鮮丼の中でも一番だった。

 

海鮮丼を堪能して、食堂のすぐ前にある大山祇(おおやまづみ)神社でお参りをする。境内には国の天然記念物の神木、樹齢約2600年の大楠があり、国宝・重要文化財の指定をうけた日本国内の甲冑の約4割がこの神社に集まっているというすごい所だ。

 

大山祇神社を後にして、次の島、生口島につながる多々羅大橋に入る。しまなみ海道で2番目に長い橋で、原付バイクの通行料金は¥100。

この橋はちょっと変わっており、逆Y字形の橋の主塔の真下で音を鳴らすと、多重反響(フラッターエコー)と呼ばれる現象が起きる。音が主塔の内側の面を繰り返し反射し共鳴しながら、上に向かって登っていくように聞こえるのだ。「多々羅鳴き龍」と呼ばれるこの現象は、駐停車禁止の本線では体験できない。原付ライダー、サイクリストの特権だ。

 

しまなみ海道のちょうど中間にある島、生口島(いくちじま)。この島から北が広島県尾道市になる。国内有数のレモンの産地で、レモン谷と呼ばれる名所では、収穫シーズンには黄色と緑のコントラストの絶景が見られるそうだ。

 

島の西側の海沿いの道を進むと、瀬戸田サンセットビーチが広がっている。名前の通り、夕暮れ時には瀬戸内海に沈む夕日の絶景が見られるのだろう。

 

次の島、因島(いんのしま)に向かう。ここにも村上水軍の拠点があり、島の中心に因島水軍城がある。となりの生口島はレモンが名産品だが、この因島は、はっさくが名産品だ。瀬戸内の温暖な気候なので、この辺りの島では柑橘類の栽培が盛んのようだ。また、この島は昔から除虫菊の栽培も盛んだ。いわゆる、蚊取り線香の原料になる花だ。昔に比べれば生産量は少なくなったが、化学物質を一切使わない蚊取り線香は今でも人気だそうだ。

 

しまなみ海道を今治側から入ると最後の島になる向島。その向島に渡る最後の有料の橋、因島大橋。原付バイクの通行料金は¥50。この橋も変わっており、自転車・原付専用道が本線の真下にある。鉄骨で囲まれたトンネルを抜け、最後の島、向島に上陸する。

 

しまなみ海道で一番北にある島、向島(むかいしま)。本州に渡る尾道大橋はわずか385m。しかも無料なので、本州の一部のように自由に行き来できる。なので、走っていたら、いつの間にか橋を越えて、気が付いたら本州の尾道市に入っていた。尾道と向島の間にある尾道水道は短いところは数百メートルしかない。海峡と言うよりは、河の向こう岸のような感覚だ。四国から本州。スーパーカブで自走で渡ることができた。

 

広島県尾道(おのみち)市。坂の多いノスタルジックな街並みから、映画やCMの撮影がよく行われており、「映画の街」とも呼ばれている。また、全国の猫好きが集まる、石に描かれた猫がたくさんある路地「猫の細道」と呼ばれる新名所もある。

 

尾道に着いて、ようやくゴールに到着した! と錯覚を起こしそうになったが、ここは中間地点。ここから折り返して、しまなみ海道を戻らなければならない。ここまで来るのに思ったほど時間が掛かってしまった。尾道市内をゆっくり見て周りたかったが、30分ほど滞在して、しまなみ海道に戻った。

 

太陽を右手に見ながら、しまなみ海道を南下する。陽が沈んで暗くなった頃に、フェリーターミナルのある東予港に到着した。乗船手続きを済ませて、午後10時、定刻通り出航した。

 

帰りの航海も順調に進んだ。朝日に向かって進む船の前方、大阪の市街地から登る日の出は絶景だ。午前6時に大阪南港に入港。天気も快晴。あとはこのまま名古屋へ帰るだけだ。

 

原付なので帰りもオール下道だ。朝の渋滞ラッシュの大阪の市街地を抜けて、奈良に入り、国道165号線を真っ直ぐ東に向かう。帰り道にこのルートを選んだのは、三重県の青山高原に行くという目的があった。

 

2011年2月下旬。青山高原の山頂付近。さすがのカブでもここはムリだった!

じつはこの青山高原、以前にツーリングに行ったのだが、途中で引き返したという事があったのだ。今から8年ほど前の2月の下旬。けっこう暖かい穏やかな日に青山高原に向かったのだが、山頂付近に雪が残っており、途中で断念したのだ。いつかもう一度行ってみようと思いながらなかなか行く機会が無かったのだが、今回の帰りのルートで近くを通るので、久々に行くことができた。

 

今回は問題なく通り抜けることができた。山頂付近では、青山高原の名所になった風車を見ることができる。50基以上はあるみたいだ。風車の真下から眺めることもできる。圧巻の風景だ。

 

風車の大群を抜け、自衛隊のレーダー基地の横を通り、津市の榊原温泉に立ち寄り、無事に名古屋へ戻った。

 

今回のツーリングは、トラブルも無く、無事に帰ってくることができた。瀬戸内海の島々をバイクで渡るツーリング、無人島でのキャンプ、初上陸の広島など、とても貴重な体験ができた。しかし、行けなかった場所もたくさんある。次回のツーリングは、さらにその先まで行ってみたい。

 

おわり

 

 

 

 

 

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