2021年10月某日。快晴。1年ぶりのキャンプツーリングには絶好のコンディションだ。しかも、この2日間のツーリング、どちらも降水確率10%だ。最近の天気予報の精度はすばらしい。念のために、一応、レインウェアは持っていくが(防寒対策も兼ねて)、テントなどのいつもの装備を簡素化して、今回は荷物をだいぶ軽くした。雨も降らず、朝晩の気温もそれほど下がらない今の時期だけの特別装備だ。
今回の目的地は長野県下伊那郡喬木村にある「矢筈公園(やはずこうえん)キャンプ場」だ。名古屋から下道を使っても片道150kmほどとけっこう近い。国道151号線と152号線のちょうど中間の山間部に位置する矢筈ダムの横にあるキャンプ場で、夏場以外は何と無料で利用が出来る。ただ、かなり山奥にある為、冬期は凍結防止の為、水場とトイレが閉鎖されてしまう。気温などを考えても今がベストシーズンだ。
朝8時に自宅を出発。ナビの所要時間は3時間半くらい。のんびり行っても昼過ぎくらいには到着できる。長野方面に行くいつものルート、国道153号線で豊田市街に入り、いつもなら猿投グリーンロード終点の力石を通るルートで行くのだが、今回は豊田市街をまっすぐ通り抜け、県道39号線「岡崎足助線」を選んだ。去年の秋に紅葉ツーリングに行った王滝渓谷の散策路入口の横を通り、矢作川の支流、巴川沿いを足助方面に向かって進む。景色も良く、信号もほとんど無い。そして何と言っても涼しい! この日は日中、名古屋で30℃くらいになるそうだ。季節外れの暑さだ。香嵐渓の手前で国道153号線に合流して、最初の休憩ポイント「道の駅どんぐりの里いなぶ」に到着。
国道153号線を使うツーリングライダーなら必ず立ち寄ると言われる人気の道の駅「どんぐりの里いなぶ」。現在は建物が改装中で、駐車場から少し離れた場所で仮店舗での営業だが、それでも人でにぎわっている。平日の午前中でもバイクは10台以上停まっている。土日はもっとすごい事になるだろう。
そして更に先に進む。平谷村、治部坂高原を抜けるとだいぶ涼しくなってきた。標高1073mの寒原峠の山頂では19℃。ちょうどいい気温だ。だた、ここから先は下り坂。飯田市に入ると一気に気温が上がってきた。名古屋と変わらないくらいの暑さだ。
矢筈公園までは喬木村の県道251号線をまっすぐ東に進むだけ。だが、この道がクセ者で、進むごとに道幅がどんどん狭くなっていく。「大型車通行不可」の看板から先は、車1台分の幅しかない。これは大型車どころか普通車でもすれ違いはムリだろう。ブラインドコーナーも多く、カーブミラーを見ながら慎重に進む。ナビを見ると目的地まであと9km。途中で地元の人であろう車と何台かすれ違った。こういうときは当然地元の方が優先。路肩ギリギリまで寄ってすれ違う。進行方向の左側が山の斜面、右側が崖なのでまだいいが、帰りが大変だ・・・。
こんな道が9kmも続くのか・・・ と神経をすり減らしながら4kmほど進むと、道幅が広くなり、対面通行の道になった。・・・ふう、助かった・・・
ここがキャンプ場の入り口。ここから右に降りると河原に出る。車でオートキャンプをするならベストな場所だが、現在は矢筈ダムに堆積した土砂を撤去する工事を行っており、ここは使用不可だ。
左側の赤い橋を渡ると川の対岸、本格的なキャンプ場になる。ただ、バイクでは渡れないのでここからは徒歩になる。
自由に使えるキャンプ場だけあって、設備はいたってシンプル。入り口の横にあるトイレと、キャンプ場の中心にある炊事場と屋根付きフリースペース以外は人工物が見当たらない。街灯もトイレの横にしか無さそうだ。おそらく夜は真っ暗になるだろう。
このキャンプ場のキャンプサイトはほとんど山の斜面だが、ところどころ平らになっているのでテントを立てるには問題は無い。だが、今回は荷物の軽量化の為、テントは持ってきていない。それでどうやってキャンプをするのか?
ハンモック+タープ
今回はハンモック泊に挑戦した。ハンモックには蚊帳が付いており、虫の心配は無い。3~4m間隔の木が2本あれば、斜面でも問題無く張れる。雨よけ、風よけのタープは多少スキマは出来るが今回は問題は無い。雨が降らず、虫もあまりいなく、気温がそれほど下がらないという条件でしか出来ない方法だ。
ハンモックの設営が終わったら、明るいうちに薪集めをする。キャンプサイトの中は陽当たりが良くなく、湿った小枝しか落ちていなかったが、河原に降りると乾いた流木が大量にあったので適当な大きさに切って薪を作った。
この矢筈公園キャンプ場、周りには買い出しできるところが無いので、喬木村の中心部まで戻らなければならない。この時期の日没時間は午後5時半くらい。温泉に寄って買い出しをして戻ったら真っ暗になっているだろう。だが、一本道なので迷うことはないだろう。
まだ明るいうちに高森町にある「信州たかもり温泉・御大の館」で温泉に入る。露天風呂からは南アルプスの山々の絶景を眺めることができる。
温泉を出る頃には、すっかり陽が暮れはじめていた。喬木村のスーパーで買い出しをして、あとはキャンプ場に戻るだけ。真っ暗になったあの地獄の細道を慎重に進んだが、幸いにも1台の対向車ともすれ違うことはなかった。さすがに地元の人も夜は危なくて通らないのだろうか。
キャンプ場に着いた頃には辺りは真っ暗になっていた。キャンプ場入口横のトイレの街灯と、対岸でキャンプをしている先客の焚き火の炎以外は灯りがまったくない。空は雲で覆われていて、月明かりや星も見えない。こんな暗いところでやるキャンプは久しぶりだ。
ハンディライトの灯りを頼りにキャンプサイトに戻り、LEDランタンを点ける。先客のキャンパーと距離が離れているところに設営したので辺りは真っ暗だ。ふと、昼間キャンプ場で見つけた看板を思い出す。
ラジオを点け、キャンプサイトの周りにキャンドルランタンを配置して、人がいるアピールをする。けっこうな山奥だが、FMラジオの電波も入り、スマホも繋がるので助かった。
温泉で温まったからなのだろうか。思ったほどというか、全然寒くない。焚き火の用意をしていたのだが、火を点けて暖を取る必要はなくなった。後片付けも大変だし、火を点けると最後まで面倒を見なければならないので、今回は焚き火台の出番は無かった。
簡単な食事を取って、この日は休んだ。キャンドルランタンは消したが、ラジオは点けたままで・・・
翌朝は午前6時くらいに自然と目が覚めた。タープ越しでも辺りが明るくなってくるのが解る。食糧やゴミは防水バッグに入れて木に吊るしておいたので、野生動物に荒らされることも無かった。ハンモックでもけっこう快適に眠ることができた。寝返りは打てなかったが・・・。言うまでもないことだが、当然、テントの方が快適に過ごせる。ただ、たまにはこういうキャンプもいいだろう。
この日も快晴。木陰は涼しいが、日なたに出ると汗が噴き出してくる。今日はもう名古屋に戻るだけだが、行きと同じ道ではつまらない。今いる矢筈公園から、避暑地で有名な「しらびそ高原」まで40kmほど。そこから先は遠山郷の温泉や、名物のジビエ料理なども食べられる。今日のルートが決まった。
だが、キャンプ場を出発して数分走ったところで・・・
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全長133mm、外形41mmの円柱型の小型LEDライトだが、様々な使い方ができる。ハンディライトとして使ったり、ボディの部分を光らしてランタンとしても使える。別売のランプシェードを付ければ下方向を照らすことができる。